「ママ、三味線作ってあげようと思うんだけど、何色のがいい?」
三味線(サンシン)を手作りすることにしたので、子供たちに訊きました。
娘は「ぴんく!」、息子は「沖縄の海の色!」と言いました。
沖縄の海の色?ってどんな色だろう・・・。
というわけで、お師匠さんの三味線店です。
先生が機械で作っているのは、サンシンの胴の部分です。
これは私のサンシンです。胴は、この丸い部分です。
丸い木の枠に、機械で布をぴんと張って、胴を作ります。
本物のサンシンは、ここに蛇の皮を張って作ります。
ですから先生のお店には、蛇の長い皮がたくさん置いてあります。
ペラペラの紙のように乾燥しているので、気持ち悪くはありません。
この胴の部分に、好きな布を貼ることができます。
観光でいらした方が作るときは、沖縄らしい紅型模様を貼るのですが、
どんな布でも作れると聞いて、布屋さんで探してきました。
むしろ沖縄らしいというより、どこの国のなんの楽器かもわからない感じにしたかったのです。
娘はピンクのお花模様、息子は生き物が好きなので鳥の模様です。
これをすき間ができないように、ボンドで貼ります。
まだ彫られていない、サンシンの竿です。長い棒の部分です。
鉛筆で印が書かれています。
先生は小学生のころから、サンシンを作っていらっしゃるそうです。
森でいい木を見つけては切ってきて、思うままに作っていたそうです。
先生が竿を作っている間に、私は胴に布を貼っています。
空気が入ると、サンシンの音に影響が出るので、ぴったり貼ります。
それにしても、サンシン作りって根気が要ります。
この時点ですでに疲れてますから、私。
サンシンの作り方を教えてくれる学校はないので、職人さんたちは有名なサンシンがあるお家からサンシンをお借りしてくるそうです。
そしてそれと全く同じ形のものを作ってみることで、体で学んでいくものなのだそうです。
琉球王朝時代から伝わる、300年以上も前の名器をお借りすることは普通ならできないことです。
しかしサンシンを持つお家も、職人さんのために貸してくださるものなのだそうです。
竿が2本できあがりました。
このサンシンを作る工程は、本物の蛇皮サンシンの作り方とほぼ同じなのだそうです。
この竿の先を、さきほどの胴の部分にさすと、サンシンの基本的な形ができあがります。
しかし、竿をさすまでには、まだまだ工程があります。
竿の部分には、のちほど三本の弦が張られます。
竿の全体が弓なりにへこんでいないと、弦と竿の間にすき間ができず、弾くことができません。
トレッシングペーパーでこんな風に、2ミリくらい削って、と言われました。
先生は、布を貼り終えた胴の部分をドリルと彫刻刀でくり抜いています。
私はひたすら竿を削ります。全体も磨いて、木の表面をツルツルにしていきます。
「先生、できました。」
「うん、まだすき間がないなぁ」
「先生、ツルツルになりました。」
「うん、まだガサガサやなぁ」
この作業が一番つらかったです。
職人さんって、ストイックで自分に厳しくないといけないなと思いました。
15分ほど磨きつづけて、やっとスベスベになりました。
これにカラースプレーで色をつけて、竿を胴にさしたものが、
これです。ここからは2日目の写真です。
1日目に13時~18時まで頑張りましたが完成せず、次の日に持ち越しになりました。
胴と竿の角度の微調整がとても時間がかかるそうで、先生がやっておいて下さいました。
弦も張ってくださって、すっかりサンシンらしくなりましたね。
胴の部分の周りに、ティーガーと呼ばれるベルトをします。
これがあると、弾いているときに手が痛くならないそうです。
ティーガーは赤と青の色違いで、ミンサー織のものを選びました。
ミンサー織は、沖縄の伝統的な織物です。
このように、■が5つ、4つ、5つ、4つと続いていて「5つ(いつ)の4(よ)までも末永く」という想いが込められています。
子供たちに渡したときは、それはもう喜んでいたのですが・・・
数日経って、すでに床に放置されています。
やはり弾き方を教えないとおもしろくないようです。
それはおいおい教えるとして、今は自分で見て楽しんでいます。
ピンクと、まさに沖縄のサンゴ礁色のサンシンが出来上がりました。
「鳥は、三味線を置いてるときは木に留まってて、弾いてるときは飛ぶようにしてほしい」
という息子の要望にも応えた、涙ぐましい努力のたまもの。
ま、いいんです。私が満足してるので。
三味線のコンクールも終わって、純粋に楽しめた手作り体験でした。
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