ウークイ(旧盆の最終日)の、次の日です。
ウークイの日に夜を徹して家々を回り、エイサーを踊り続けて、御先祖様をお見送りしました。
その次の日は、この1年で新しく建てたお家やお店を回るのだそうです。
うちのアパートの近くの不動産屋さんの前で、エイサーを踊っています。
「京太郎(チョンダラー)」はコミカルな格好をした道化役です。
写真中央に一人、右に一人います。
エイサーで疲れてきたみんなを盛り上げたり、道路の交通整備もしています。
エイサーを見つけ、停まって見たい車を、安全な場所に誘導します。
が、タイミングを見極めて、いきなり道路に飛び出して踊ったり、無茶もします。
私は今、公民館の地域塾で働いています。
そして、この地元青年会は公民館を根城にしています。
朝、公民館へ行くと、お兄さん達が着替えたり、お化粧をしたりしていて賑やかでした。
ほんとはその写真も撮りたいところでしたが、「楽屋」という感じなので遠慮しました。
公民館の長いすには、若者が座ってボーーッとしていました。
「あんた、寝てないんじゃないの?」
と区長さんに言われて、力なくうなずいていた青年。
今は勇ましくエイサーを踊っています。
小学校の同級生たちと一緒に、はしゃぐ息子(の足)。
「エイサー、かっこいいねー」と女の子達に言うと、
「うちの区のエイサー見た?上等だよ!」
すでに対抗意識が芽生えています。
息子の同級生も、エイサーを踊っています。
こんなに暑い中、立派です。
はしゃぐ息子の一瞬をとらえた、貴重な1枚。
常に動いているので、写真に撮ると、いつもブレてしまう息子であります。
「エイサー、もう今日しか見られませんよね?スケジュールってないんですか?」
と、区長さんにお聞きしました。
沖縄は「区」という、町内会くらいの規模の行政区があります。
区は「区有地」を持っていて、それを米軍やホテルに貸しているので、かなりの収入があります。独自に区民用のダムを持っていて、水道管も保有しています。
それぞれの区には、選挙で選ばれた区長さんや事務員の方がいます。
そして区有地の道路整備や、ハブ退治などの土地管理を行ったり、様々な行事を開催したりしています。
さて、スケジュールを見せてもらいました。
11:00 ホームセンター前
11:30 新築の不動産屋さん
12:00 村立病院
・・・・・30分ごとに夜遅くまで、びっしりスケジュールが組まれていました。
エイサーの人達は、お酒も飲むので、かなりの体力を使うことでしょう。
さて、これから村立病院でエイサーを見ます。
病院は、高台の上に建っています。
エイサーの追っかけ団たちが、壁を上ってやってきました。
自転車で、夜までエイサーを追いかける!と言っていました。
息子の同級生と、お姉ちゃんです。ちなみにこの二人は、5人兄弟です。
沖縄は子沢山です。
旧盆の3日間、沖縄では毎日ご馳走をたくさん作ります。
旧盆の初日に家庭教師のお家に行ったら、お母さんが文字通り走り回っていました。
隣りにある御実家にいらした御親戚たちのおもてなし。
その合間に、御親戚のお家にもお中元を持ってお出かけ。
途中で、足りなくなった食材の買い出し。
「御先祖様は、この3日間しかごはんが食べられないんです。
だからお腹いっっぱい食べてもらわないと。
生前に好きだった物なら、なんでも並べます。
マックのハンバーガーが好きなら、ハンバーガーでもいいんです。」
内地のお盆は、亡くなった人を思いながら、現世の人がご馳走を食べる。でも沖縄のお盆は、御先祖様たちが食べたご馳走の残りをいただく、という気持ちなんです。
そう、お母さんは話して下さいました。
思い出すだけではなく、こっちの世界に遊びにきてくれる御先祖様たち。
この考え方は、ポジティブで素敵です。
なので、私もこの考えを取り入れて、お盆の間は御先祖様たちに見てもらえるように、子供達の工作をたくさん並べました。
オバアがずっと手を叩いていたのが、心に残りました。
オバアの後ろで、飲み物入りのダンボール箱に座っている奥さん。
これはたぶん、エイサーが終わった後、みんなに渡す飲み物では・・・・沖縄の人は大らかです。
お昼に2回エイサーを見て、仕事をしてから、夕方また見物に行きました。次は、区内にあるガラス工房です。
このお店は毎年、たくさんの青年会を呼んでくれるので、村のエイサー大会のようです。
テントが張られた招待席に、友達家族が来ていました。
お店の社長さんと付き合いのある方々が、すでに泡盛をたくさん飲んで盛り上がっています。
ちなみに沖縄の人は、泡盛を水割りで呑みます。
「次は3:7にしなさいよ!」
と友達がダンナさんに言っていたので、普段は5:5くらいに割っているのでしょう。
息子が卒業した幼稚園の先生も、隣りの区で踊っておられました。
エイサーの青年たちは、3つの役割に分かれます。大太鼓、中太鼓、小太鼓です。(青年会によって、全部はない所もあります。)
大太鼓を叩く人は、一番経験が長く、体力と技術がある人です。
反対に小太鼓(パーランクー)を持つのは、高校生など一番若い人たちです。
隣りの区のエイサーが終わり、いよいよ地元の青年会がやってきました。公民館のトラックが、チョンダラーの顔になっています。
それぞれの区は、観光バスのように大きなバスを持っていて、他の人達はそのバスで移動しています。
同級生3人組。
左から、エイサー追っかけ隊長、シーサー、エイサーメンバーの子です。
この子はまだ1年生なのに、どうしてもエイサーに出たいと言ったそうです。毎日夜8時~10時まで練習したと言っていました。
この子のお父さんが、毎晩練習場所に行って、終わるまで見守っていたとのこと。
その内にみんなに誘われたようで、結局お父さんも一緒に、エイサーを踊っていました。
写真中央は、このお店の店長さんです。
元々この区出身の方で、踊りも完璧です。
うちの村はリゾート地なので、たくさんのホテルやお店が立ち並んでいます。しかしそのほとんどが、外資系だったり、内地の会社が経営したりしています。
その中で、地区出身の方が経営している大きなお店は珍しいのです。
会場の脇には、次に踊る青年会が。
踊る方も、プレッシャーを感じていることでしょう。
チョンダラーの中に、チョッパーがいました。
人気のマンガ「ワンピース」に出てくるトナカイ、ですよね。
子供達は大喜びでした。
地元青年会が去って、次が最後のエイサーです。
ちなみに、エイサーを呼ぶと、いくらくらいお礼を渡すのでしょうか。
友達に聞くと、
「気持ち。決まってないよ~。」
とのこと。
いや、そう言わず。
実際には5千円くらいから、だそうです。
それと飲み物を渡すのが一般的です。
新築のお家は、その他にたくさんのお菓子を渡します。
次の日、公民館に山積みになっていて、私も2つ頂きました。
日が暮れてきました。
ライトアップされると、衣装と太鼓の白が映えます。
このエイサー大会、17時前から始まって、もう19時半です。
写真右は息子の足、この距離でエイサーを見ています。
太鼓の振動が、足下に伝わってきます。
このあと家に帰ってからもしばらく、ドン!ドンドン!という太鼓の音が、耳の奥で鳴り続けていました。
そして最後はカチャーシー。
息子はいつの間にか、カチャーシーを踊れるようになりました。
気がつけば、もう20時過ぎ。
時間も忘れて見入ってしまう、エイサーには不思議な魅力があるのでした。
*3日間おいかけたエイサーの動画です。
http://www.youtube.com/watch?v=tTLUYmgMBj8&feature=youtube_gdata
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